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Mew の誕生

1994年4月、本格的に Mew の製作に取り掛かりました。一覧表示の終了を待たな くてよい機能、動的なウインドウ設定、マーク、解析したメッセージの保存など は、お手本があったので早くから実装されていました。

はじめの頃は MIME を MIME モードで表示していました。マルチパートのメッセー ジで `SPC' を押すと、Summary モードから MIME モードに移動していたの です。しかし、歌代さんは言いました、「なぜ MIME モードかあるの? Summary だけで十分ではないか」。目から鱗の落ちる思いでした。

このころの大きな障害は、メッセージの整頓方法と MIME の作成方法でした。

確かに VM のように、ユーザにいちいち Lisp を書かせれば、整頓は簡単になり ます。しかし、ユーザにこまめに設定させること自体が嫌だったのです。「メッ セージのヘッダから無限の可能性のある整頓先を模索するのは馬鹿だ。限りのあ る実際のフォルダの中から候補を選べばいい」。このアイディアを思いついたと きは、次の朝が来るのが待ち遠しかったものです。整頓機能は、後に乃村さんに よって強化されました。

複雑な MIME を簡単に作成するにはどうすればよいか? ユーザには作成文法と か MIME の書式などの理解を押しつけるのはあんまりだ。一言説明すれば、だれ でも直感的に MIME を作れるようにしたい。この答えをくれたのは門林さんです。 「MIME の構造ってファイルシステムに似ているよね」。そうです、シングルパー トをファイル、マルチパートをディレクトリと考えればよいのです。ファイル操 作はだれにでもできるし、ファイル構造を MIME に変換する仕事は Mew が請け 負います。


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